「Liquid SunriseA-2」

(……うん、そうだね)
クリスマス、大晦日、そして正月。年末年始は本当に行事が多い。恋人同士が思い出を作るのにはもってこいだ。しかし、受験のせいで僕らは二人でどこかへ出かけたりはできなかった。それでもクリスマスには、僕がサンタクロースの格好をした写真をメールに添付してクリスマスカード代わりに送ったり、大晦日には、電話越しではあるが、二人だけで年越しのカウントダウンをしたりもした。(親に見つからないようにとても小さな声で)そして元旦には、近所の神社で買った合格祈願のお守りと年賀状を茜の家まで渡しに行った。受験によって会える時間が限られていることで、寂しさが全くないと言ったら嘘になるが、今が茜にとって一番重要な時期だということは理解していたし、何よりも、そんな些細な思い出でも、僕にとっては大切な宝物になっていた。だから、もしも今日茜と会えなくても、そして茜が今日の僕の誕生日を忘れてしまっていたとしても、それでも構わない。その時々の寂しさは僕が乗り越えていればいい。一緒にいられない時にこそ心は寄り添っていて、離れていても僕らは繋がり合っていられると僕は信じているのだ。
『今から電車に乗って帰るよ。今日は遅くまで予備校だろ? 頑張れよ☆』
放課後、駅のホームで電車を待ちながら茜へメールを送信し、携帯電話を制服のズボンの左ポケットへ乱暴に押し込んだ。それは、僕の心の中で少しずつ、少しずつ積み重ねられていった『寂しさ』という漠然とした歪な感情を拭い去るための行為でもあった。すぐ近くで楽しそうに会話を交わす大学生風のカップルを見て、僕は少なからず嫉妬心を抱きながら、しかし僕は信じるしかないのだ。一緒にいられない時にこそ心は寄り添っていて、離れていても僕らは繋がり合っていられるのだと。そして何よりも、僕は茜に愛されているのだということを。(まだ付き合って一ヶ月半しか経っていないんだ。お互いを知って、お互いを理解していくには時間だってかかるはず。寂しさは今だけなんだから、とにかく今は茜のことだけを考えよう。受験が終わりさえすれば、きっと二人で過ごす最高の時間が待っているはずだ)

  電車を降りると、静かに降り続いていた雪はいつしか雨に変わっていて、その雨ももうすぐ上がる気配を漂わせていた。僕がいつものようにバス乗り場とタクシー乗り場の横を通り過ぎようとしていると、駅ビルの片隅の屋根になっている場所で、茶色のハンチング帽子を深々と被った女性のストリートミュージシャンがギターを弾きながら歌っていた。地面にあぐらをかいて座り、誰一

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